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摂食障害
拒食症は、食べることを極端に少なくし、周囲から見るとやせすぎているのに体重が増えることを恐れ、低体重を維持しようとする行動が目立つ病気です。
過食症は、一度に大量に食べてしまい、そのことを非常に後悔し、気持ちが「ゆううつ」になったり、いらいらしたりし、太ることを恐れて吐いたり、下剤を使ったりすることで、食べたものを外に排出する行動が目立つ病気です。
いずれにしても「食事のコントロールが難しい」病気ですが、治療すれば良くなっていく病気です。
世界における摂食障害の医学的な詳細な記述は19世紀に見られますが、日本では1960年代にはじめて報告されています。その後急激に患者数は増加し、約1000人に1人を超える有病率が指摘され、現在ではだれでもが罹患しうる病気であると言えるでしょう。この病気は都市部に多く見られるのも特徴の一つで、文化的な影響も大きいといえるようです。
10代から20代の女性に多く見られる病気ですが、30代以降にも見られますし、男性にもみられます(男性1:女性10)。
摂食障害の発症の原因については、多くの研究が進められていますが、明らかな病因は現在のところ不明です。しかし、脳も含めた生物学的要因、心理的な要因、環境も含めた社会的要因が複雑にからみあっていることが推測されています。家族関係の要因についてもさまざまな研究がされていますが、家族のあり方が原因となるという明確な証拠があるわけではありません。必要以上に親の育て方に原因を求めないようにしましょう。
目標を見失い、自分自身の自信が揺らいだとき、ダイエットが目標となることがあります。ダイエットを行うことで、やればできる自分を体重計の数字で確認して安心したい気持ちがあるようです。そのため「太る」ことは、結果の出せない自分にまた逆戻りをするように考え、不安になり、食べたくない気持ちにつながるようです。
からだには、長期にわたる栄養失調状態により、やせすぎ、無月経、低血圧、体毛の密生化、むくみ・しびれ、腹部不快感、肝臓・腎臓・胃腸の障害、骨折しやすくなるなどの影響も出ます。また、嘔吐、下剤の乱用などにより、体内のナトリウム・カリウム・塩化物といった電解質のバランスが崩れ、深刻なときは心不全を起こし死亡することもあります。
こころには、情緒不安定、孤独感が強くなり、カッとしたり、生きていることをとてもつらく感じることがでてきます。こだわりも強くなり、自分で悪循環から抜け出したいと思っても、ついこだわって抜けられなく、自分がだめな人間に思えたり、生きている価値がないように思えたりしてきます。
極端な自己評価(「やれる自分」「ダメな自分」)や、依存と自立(「甘えたい」「一人でやりたい」)の気持ちが両極端に揺れ動きます。これは思春期のこころのありようとも大きくかかわってきます。そのため、周りの人もどう接していいのか、本心はどこにあるのかとまどいます。むしろ揺れ動いている気持ちととらえましょう。
食品へのこだわり、料理を作り家族に食べさせ強制する傾向、人前で食べたがらない、夜中に起きて食べる、食品の買い置きをさせない、家にある食品はすべて食べてしまう等が共通してみられます。
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