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摂食障害
摂食障害の成り立ち
摂食障害の人には完璧主義や、人に気を遣いすぎてストレスをためやすい傾向がみられます。
快活に見えても、意識しないでいつも気を遣っている人もいます。
拒食症の発症のきっかけはさまざまですが,失恋,友人関係の悩み,学業やスポーツで思ったような成績がとれなかったなど、自信喪失や孤独感が関係することが多いようです。
こんな時にダイエットを始め、やせた体にとても自信を持てた体験がきっかけになり得ます。やせた体が「よりどころ」と表現する人もいます。
疲れやすくなったり、周囲からの注意でダイエットを止め、病気に至らないことも多いのですが、一部の人は持ち前の完璧主義を発揮してやせつづけます。
ある程度やせると脳内の食欲中枢が鈍り、空腹を感じなくなります。極端なやせが思考力に影響し,柔軟に周囲の意見を取り入れることが困難になります、心身が衰弱すると、日常生活を支える様々な活動ができなくなり、ますます、やせた体が本人にとって自分で自由にコントロールできて、自信を持てるよりどころになり、手放せなくなります。
そして、それを保つための偏った食事や過度の運動に囚われます。
過食症の成り立ちも拒食症と共通する部分が多いのです。
過食の間はいやなことを思い出さないとか、気持ちが切り替わるという人がいます。しかし、過食には「悪いことをしてしまった」という罪悪感や太ることへの恐怖をともない、本人を落ち込ませます。この落ち込みが、また気持ちの切り替えのための過食を誘発する傾向があります。
回復に必要なものは?
摂食障害の治療では、心身両面の回復を目指す必要があります。拒食症で極端にやせている状態では、落ち着いて考えることができないので、心の回復のためにはある程度の体の回復が必要です。一方、やせた体以外によりどころがないのでは、体だけ回復しても再発してしまいます。過食症の回復に関しても,過食に頼らないで気持ちを切り替える術を身につける必要があります。
また、完璧主義や気づかいが過ぎないように、自らの生き方を振り返ることも必要です。
体力回復のためにどうしたらいいの?
- (1)限界体重の設定
- 拒食症の場合には、医学的に考えてどの位の体重が限界なのかを理解させ,それを下回ったら入院が必要であることを説明します。概ね標準体重より
20%少なくなると(身長150cmで39kg,160cmで44kg)ホルモンのバランスが崩れ、30%の減少(150cmで35kg,160cmで39kg)では重要臓器の障害の危険があります。
- (2)入院による行動制限
- 医学的な説明で理解を求めても、体重減少を食い止められないときは、入院が必要です。これによって、過剰な運動などのやせるための不適切な努力を止めさせる必要があります。
- (3)強制栄養
- 一部の患者さんには、やむを得ず点滴や中心静脈栄養や経管栄養が必要になります。患者さんにとっては不愉快な処置ですが、拒食症では低栄養で死亡することもありますので、強制栄養の開始時期を逸しないことは大切なことです。また、極端な低栄養は思考力を減退させ、心の回復をも阻害してしまいます。
心の回復のためにどうしたらいいの?
- (1)本人への働きかけ
- 拒食症に対しては、「よりどころ」になってしまった、やせた体に囚われないことを目標とした働きかけが必要です。過食症に対しても,過食以外の気持ちの切り替え方を探すことが必要です。また、完璧主義や気の遣いすぎといった発病と関連している可能性のある生き方を振り返ってみることも大切です。
- (2)家族への働きかけ
- 患者さんを一番身近で支えるのは家族ですので、家族が回復に協力し、関わりを工夫することが大切です。たとえば、本人がごはんを食べないことに批判的に対応すると、反発を誘発し、余計食べなくなることがあります。一方で,食べない状態を放置し過ぎても、やせが進行しますので、その人に合った程よい関わりを模索していくことが必要になります。
最後になによりも焦らないことが大切であることを強調したいと思います。焦ると、「よりどころ」や「気持ちの切り替え」になってしまっている症状に余計しがみついてしまいます。摂食障害の回復とは、新たな生き方やよりどころを探す心の旅路と考えて、プラス思考で,じっくり取り組みましょう。
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