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摂食障害

[ 摂食障害の歴史、拒食タイプ・過食タイプ、男女比]

 主として、女性にみられる極端な食欲不振とやせ状態については、17世紀後半から報告がありますが、症例の急激な増加は、第二次大戦後から、特に1960年代以後です。しかし当初は、拒食タイプだけが注目されており、特に日本では、1970年代になって、過食タイプの報告が多くなりました。そして、従来から知られていた神経性無食欲症(思春期やせ症、拒食症)に、その対極にある神経性大食症(過食症)を加えて、それらの上位概念として、摂食障害(Eating Disorder)という用語が使われるようになりました。過食症は、さらに、自己誘発性嘔吐とか利尿剤、下剤乱用などの浄化(Purging)を伴うものと単にやけ食い(Binging)だけのものに分けられます。このほかチューイング(Chewing,噛み吐き)だけという特殊タイプもあります。もっとも、これらの下位分類は個々の患者(とくに若年層)の病歴の中では、合併したり相互に移行する傾向があり、その場合には拒食期、過食期というように呼ばれます。一般に、拒食症(拒食期)のほうが年齢的にやや若くて、十代に多く、過食症(過食期)は20歳前後に多いという特徴があります。拒食症から過食症にという病状変化の傾向がある一方で、拒食からでなく、過食から発症するタイプは低年齢で発症する傾向があるという報告もあります。嘔吐なしの過食タイプは、約9割がダイエットからスタートしますが、過食嘔吐タイプはもっといろいろな発症の仕方をします。従来、男女比は1対10と、圧倒的に女性に多いとされていましたが、これは治療に現れる患者の男女比で、潜在患者までを含めると、男女の差はもっと少なく、1対5程度であるという意見があります。日本における青年期から若年成人期の女性の過食症の有病率は1−3%です。米国では、若い女性の0.1%前後が拒食症で、2%前後が過食症と推測されています。

 なお、「摂食障害・嚥下障害」と並べて表現される時の「摂食障害」は、脳卒中、神経・筋肉疾患、呼吸器疾患、喉の周囲にできた腫瘍、身体の一部の麻痺による身体的な障害を意味しており、「摂食・嚥下障害」あるいは「摂食・嚥下機能障害」という用語は、主として歯科や口腔外科で使用されます。精神科や心療内科で問題となる「摂食障害」とは、別のものです。この両者を区別するために、後者を「中枢性摂食異常症」と呼ぶことがあります。

[DSM-IV の摂食障害分類-この項目やや専門的です] 

 アメリカの精神障害診断統計マニュアル、DSM-IVでは、摂食障害(Eating Disorders)は、神経性無食欲症(Anorexia Nervosa)と神経性大食症(Bulimia Nervosa)、特定不能の摂食障害(Eating Disorder Not Otherwise Specified)に大別されます。(拒食症患者の食欲低下は稀なので、無食欲症という用語は誤用ですが、伝統的に Anorexia とその日本語訳の無食欲症が使用されています)。前項目(上記)のように、摂食障害は、拒食に始まり、過食に移行するという傾向がみられるのですが、DSM-IVの摂食障害診断は、原則的に横断的な状態像診断ですから、一人の患者が病期(現在のエピソード;current episode)によって、いろんな診断に移行することを意に介しません。当然、多くの患者で、神経性無食欲症から神経性大食症に、あるいはその逆に診断が変わることに注意が必要です。神経性無食欲症は制限型(Restricting Type)と無茶ぐい/排出型(Binge-Eating/Purging Type)の2型に、神経性大食症は排出型(Purging Type;自己誘発性嘔吐、下剤、利尿剤、浣腸あり)と非排出型(Nonpurging Type; 代償行為がないか、あっても、絶食、過剰な運動など、排出以外の不適切な代償行為だけしかない)の2型に分けられます。神経性無食欲症と神経性大食症を区別する指標は、基本的には正常最低限体重を維持しているかどうかです。拒食症とも過食症とも決め難い(若年層に多い)タイプは、「特定不能の摂食障害」という範疇に入ります。この診断下位分類法は、日本の臨床家にはややなじみにくいようで、臨床家でこの用語を使う人は少数派です。多分、拒食症、過食症に比べて長ったらしいため、また無食欲症という本質的に正しくない用語を使いたくないためという理由もあると思われます。当Webサイトでも、拒食症、過食症を用いています。

 実はDSM-IVには、摂食障害のもう1つのタイプ、無茶ぐい障害(Binge Eating Disorder)という下位診断が記載されています。これは、無茶ぐいエピソードを繰返すが、神経性大食症に特徴的な代償行為の定期的使用をしないタイプです。摂食病理や精神病理に関しては、神経性大食症よりは軽症、あるいは神経性大食症と非過食肥満症との中間に位置するといわれています。無茶ぐい障害は欧米では神経性大食症と同等以上の有病率があると報告されています。この疾患は、日本ではあまり知られていないため、患者が、「摂食障害ではない」と言われて、病気扱いをしてもらえなかったという報告をよく聞きます。この無茶ぐい障害のほか、定期的に月経のある拒食症、過食なしの普通食嘔吐のタイプやチューイングのみのタイプなどは、特定不能の摂食障害の中に含まれています。

 また典型的な摂食障害では、体重、体型、食事に関するこだわりが主要症状ですが、体重増加への恐怖を否定し、自己の栄養障害を認識し、自己身体像の歪みを持っていないように見える非定型例が、とくにアジアの摂食障害患者で多いと言われます。この非定型的な特徴は、アメリカの摂食障害専門プログラム症例の2割でも見られるという報告があります。
[日本の摂食障害、最近の傾向]


 日本の摂食障害の推定(受療)患者数は、1993年、人口10万人対4.9人から、98年、18.5人と急増しています(厚生省研究班)。日本では、テレビが普及してきた1960年代に拒食症が、コンビニエンス・ストアーが増えてきた75年以降に過食症が増えてきたといわれています。
 日本における摂食障害者の近年の傾向として、1.拒食症から過食症へ移行するケースの増加。 2.拒食症の既往のない過食症の増加。 3.特定不能の摂食障害者の増加、などが指摘されています。
 日本においては、摂食障害者の増加に対して、専門施設や専門医、専門スタッフの不足が続いており、専門医の疲弊傾向が強いといわれています。一方では、医療機関の中には、時間と手間のかかる治療を嫌がり、摂食障害患者を敬遠するところも少なくないようです。

 患者の急増が指摘されながら医療体制の不備が指摘されている摂食障害に対処するため、厚生省は2000/12/18までに、国の施策として担う医療対象と位置づけ、正確な診療や研究、専門家の教育などを目的にした拠点医療機関を全国に整備し、ネットワーク化を図る方針を決めました。3年後をめどに態勢の確立を目指すとのことです。

 厚生科学研究の一環として、国立精神・神経センター精神保健研究所が全国8府県の中学・高校、1231校を対象に実施した調査によると、「摂食障害の生徒が増えている」と回答した学校が、中学校で45%、高校では54%でした。 一方、約6割の学校が「近くに紹介できる適切な医療機関がない」などと回答。対応できる医療体制の不足も明らかになりました(2003年10月)。[ 赤城高原ホスピタルの摂食障害患者 ]

 ホスピタルは、アルコール専門病院という施設の特殊性のために、入院している摂食障害患者は、原則としてアルコール(または薬物)乱用合併者か酒害家庭出身の方です。ほとんどが過食症で、拒食症は少数です。どちらかというと外来での治療が困難な重症の方々です。
 以下の記載も、大部分は摂食障害全般を対象としているというより、重症の過食症(特に過食嘔吐のある20代の女性)を念頭に置いた書き方になっています。


[ 摂食障害と栄養障害 ] 

 摂食障害は時々、栄養障害と混同されます。摂食障害は栄養障害を伴うことが多いけれど、栄養障害は摂食障害の結果の一部にしか過ぎません。この二つの言葉は、アルコール依存症と肝機能障害との関係にたとえることができるかもしれません。肝機能障害の治療はアルコール症治療の一部、栄養障害の補正は摂食障害治療の一部ですが、肝機能障害の治療をしても、アルコール症が治ることがないように、栄養障害の治療をしても原則として摂食障害は回復しません。こんなことを言うのは、摂食障害やアルコール症に対して、実際にこのような誤解に基づく間違った医療がなされていることが少ないくないからです。アルコール症に伴う軽度の肝機能障害は、とくにその治療をしなくても、アルコール依存症が回復して断酒が継続されれば、自然に軽快しますが、摂食障害に伴う栄養障害も、軽度であれば、原因疾患の摂食障害が回復して食生活が改善されれば、正常に戻ります。
[ ダイエットとの関係 ] 

 摂食障害はダイエットの習慣と密接な関係があり、ダイエットの習慣のある社会では、どこでも見られます。女性の有病率が高いのも、女性の方がダイエット指向、「やせ願望」や、体型に関する社会的プレッシャーが大きいためと考えられます。また男性では、自己不全感の疾患表現形式が摂食障害よりも、行動障害、非行、家庭内暴力などに向かいやすいとも言われます。
 1997年春の学校保健統計調査で、幼稚園から高3までの女子の体重が、中1を除く全ての学年で前年度を下り、高校生女子は平均で0.3kg 減少したという報告がありました。関係者は、この背景には安室奈美恵、榎本加奈子、吉川ひなのや華原朋美など細身のスターへのあこがれがあると分析しています。

 1985年まで電力もなかった太平洋の小島、フィジー島に1995年にテレビ放送が始まって、イギリス、ニュージーランド、アメリカのTVドラマが見られるようになって以来、摂食障害患者が急増中です。フィジーでは、これまで伝統的に男女ともがっちりした筋肉質の体が好まれていました。テレビ放送が始まって3年後の調査では、十代の女性たちが、ダイエットに関心を持ち出し、約4分の3の少女が自分を太り過ぎだと感じ、15%のティーンエイジャーが体重制限のために嘔吐をしたことがあると答えています。[ 重症度、典型的症例の症状経過 ] 

 摂食障害の重症度は、軽度から極めて重症の例まで、患者によって著しい差があります。摂食障害の3つのタイプで言うと、拒食症が最も重症、過食症がそれに継ぎ、無茶ぐい障害は最も軽症とされます。拒食症のために入院を要した患者を20年追跡した研究では、20%がこの疾患のために死亡していたという報告があります。

 軽症摂食障害の場合には、ちょっと変わった癖として受け入れられていることもあり、また、スリムであることが重要とみなされるファッションモデルや新体操などのグループ内では、過食と嘔吐が生活習慣になっていることもあります。一方で摂食障害は、外傷性精神障害の一つとして、明らかなトラウマ(心的外傷)の後遺症として発病したり、重度の人格障害など、重い精神病理を背景に発病することもあります。このように摂食障害は、一方ではファッションやダイエットの習慣と関係がありますが、重症例では、背景要因としてそれ以外の精神病理も考える必要があります。

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